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私は『凶悪』を観た

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あらすじ:ある日、ジャーナリストの藤井(山田孝之)は、死刑囚の須藤(ピエール瀧)が書いた手紙を持って刑務所に面会に訪れる。須藤の話の内容は、自らの余罪を告白すると同時に、仲間内では先生と呼ばれていた全ての事件の首謀者である男(リリー・フランキー)の罪を告発する衝撃的なものだった。藤井は上司の忠告も無視して事件にのめり込み始め……。




タコ的点数:95点





これはすごい映画でした。早くも今年の年間ベスト10に入ることは間違いないと確信してしまうほど、これまで観た邦画の中でも圧倒的に力強さを感じた映画でした。
原作は、ノンフィクション「凶悪-ある死刑囚の告発-」。つまりは、実在の殺人事件を取材したノンフィクションを基に作られたわけです。もちろん、冒頭に「実在の事件を基にしたフィクションです」とテロップが流れるので、脚本用に多少の脚本はあるみたいですが(主人公の家庭事情とか)、殺人の動機や殺しの手口などは実際の事件に忠実になってるみたいです。とどのつまり、「実際にこんなにも恐ろしい人間がいるのか・・・」と恐怖を感じるのもこの映画を観る上での楽しみのひとつなわけですが、それ以上にこの映画が語りかけてくる「人間の本質」というものに、誰もが息苦しい思いになるのは間違いないでしょう。
お金を払ってまで、こんな胸糞悪い映画を観る必要があるのか、と言われると「はい」とは言いにくいですが、それでもこの映画を作られた価値は非常に高いと思います。

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物語の主題はもちろん、この映画をさらに上質なものに引き上げたのは、メインとなる3人の俳優さんの功績です。まず、誰もが認める実力派俳優・山田孝之さん。凶悪事件に触れるにつれて、自らも知らないうちに悪意に染まってゆく・・・そんな難しい役どころを見事に演じきってくれてます。そして、ピエール瀧さん。人を殺すことを何とも思わないほど非常であるにも関わらず、直情型で人との絆を何よりも大事にする・・・ジャイアンがそのまま大人になったような、凶悪ながらもどこか人間臭さを感じさせる役。これもかなりお見事な熱演でした。そして、最後に通称”先生”と言われる最凶最悪の男を演じるのが、リリー・フランキーさん。この人、邦画史に残る名悪役を演じられたのではないでしょうか?心底震えました・・・素晴らしい!
メイン3人中2人が非俳優というにも関わらず、ここまで重厚なサスペンスドラマに仕上がっているのは、確実にこのお三方のおかげでしょう。彼らの名演を見るだけでも、この映画を観る価値は十二分にあると思います。

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脚本、テーマ、そして演技、と、映画に重要な要素が全てかなり高いレベルに仕上がっているこの作品。決して、ハッピーな映画ではありませんが、観るかどうか迷っているなら絶対に観るべき作品です。




以下ネタバレ


この「凶悪」というタイトル。もちろん、ピエール瀧さんとリリー・フランキーさんが演じる二人の極悪人を指すことはもちろんなのですが、その周りにいる普通そうに見える人々も実は凶悪な一面を見せているんですよね。凶悪事件に関わることで自らも悪意に染まっていった主人公のジャーナリストももちろんのこと、やはり怖かったのは父親を殺すように”先生”に依頼していた家族。一見平和に電気屋を営んでいるだけかと思いきや、実は裏で借金を返すために殺人を依頼していたんですよね・・・。”先生”が「あんたんとこのお父さん、死にたくないって言ってるよ。どうすんの?」と電話した際、奥さんがためらいもなく「どんどんお酒を飲ませてください」と言いのけてしまったシーン。これはかなり衝撃的でした・・・。
そして、さらに、事件に直接関わりのなかった池脇千鶴さん演じるジャーナリストの奥さんも実は凶悪な一面を見せていました。夫の母親の介護に疲れ切った彼女の告白・・・
「あたし、ずいぶん前からお母さんのこと殴ってる。お母さんが早く死ぬことを期待してる。自分だけはそんな人間じゃないって信じてたのに・・・
日々、ニュースで信じられないような凶悪事件が聞かされますが、多くの人が「自分は絶対にこんなことしない」と思っているでしょう。しかし、ちょっとしたきっかけで、人間は誰でもその凶悪な一面を見せる可能性が多分にあるのです。
とどめは、事件を無我夢中で追っていた夫に対するこのセリフ・・・。
「楽しかったんでしょ?」
なぜ、僕らがこの映画を観たいと思ったのか?やはり、自分の世界には無い凶悪な人間に対するスリルを楽しむためなのでしょう。このセリフは、主人公の夫に向けられたものであると同時に、この映画を楽しみに観に来た観客をも突き放す強烈な一言だと感じました。
えげつない事件を口では「酷いなあ」と言いながらも、心のどこかで凶悪殺人者と同じ感覚を自分も持っているのかもしれない・・・そんなことをふと考えて不安になってしまいました。

監督自身この映画を「社会派ではなくエンタメ作品だ」と言っているそうなのですが、僕にとってはエンタメの皮をかぶったアンチエンタメ作品のように思いました。
とにもかくにも、この映画を一度観れば、記憶の中に腰深くかけてどっしりと存在感を発する作品になることは間違いないですね。





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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

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No title

リリーフランキーがかなりはまり役でしたね。
何箇所か笑いを誘うシーンがありますが、これって実際の事件なんだよなーって
思うと笑えなかったです。
実際の事件の話ってドーンって来ますね。
被害者の家族がこれ見たらどう思うのかなーって考えちゃいますね。

Re: No title

ポン汰さん、コメントありがとうございます!
返事が遅くなってごめんなさい(><)

実際にこの事件が報道されていたときも、
ニュースを見ている人たちはこの映画を観るように
楽しんでたのかもしれないですよね・・・。
被害者の家族もこの映画にしてもニュースにしても、
きっといい思いはしてなかったんじゃないかなぁと思いますね・・・。
プロフィール

タコ

Author:タコ
映画が大好きな一人の男。映画に関して思いついたことを書くだけの緩いスタンスでやっていきます。
文章力に自信はないので、非常につたない文章になっているかとは思いますが、読んでいただいて映画選びの参考にしていただけたら光栄です。

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また、内容が酷いと思われるコメントも独断で削除させていただきます。悪しからず。



~映画レビュー採点基準~
100点…必見!!ですが、作品によってはトラウマになったりする可能性あり。
81~99点…必見!!
61~80点…観る価値あり!!自信を持ってオススメ。
41~60点…まぁまぁ良作。暇なときに観ればいいのでは?
21~40点…別に観なくてもいいかと・・・。
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YouTubeで趣味で作曲もしてます。「Modernmonkey100」で検索して遊びにきてください。

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