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私は『紀子の食卓』を観た(ネタバレあり)

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あらすじ:家族との関係や自身の現状に違和感を感じていた女子高生・紀子(吹石一恵)は、あるサイトにのめり込み東京へ家出する。サイトの主宰者と出会った彼女はミツコと名乗り、レンタル家族の一員となる。そのころ起きた女子高生の集団自殺に紀子の手がかりを見出した妹も家出。その後母が自殺し、残された父親は(光石研)娘たちの消息を追う。




タコ的点数:100点




個人的には・・・
園子温作品、最高傑作!!!!
と言ってしまっても良いと思います。園子温監督を全て観たわけではないですが、少なくともこれは大傑作でした。う~ん、がっちりと心をつかまれてしまいました。
159分という長尺でしかも全編モノローグといういかにも疲れそうな・・・というかかなり疲れてしまった(笑)作品なんですが、その静けさからにじみ出るパワフルさはかなり引き込まれると思います。モノローグのセリフも情報量が多く、少し油断してるとすぐに聞き逃してついていけなくなっちゃいます。なんでもこの作品、脚本制作に2年を費やしたそうで、それだけに登場人物たちの細かな心情が丁寧に語られており、ただ聞き流しているだけでも割と楽しめそうな気がします。まるで純文学作品を一気に読み終えたような疲労感。それだけにハマった人には忘れられない作品の一つとなるのは間違いないでしょう。

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あと、吹石一恵さん、つぐみさん、吉高由里子ちゃんの三名の演技にも注目ですよね。吉高由里子ちゃんは確かこれが初映画出演、吹石一恵さんなんてテレビで見かけても気にもかけなかったのに、つぐみさんも見覚えはありますがこんなに意識して観たのは初めて・・・園子温監督はなんでこんなにも女優さんを爆発させることができるのでしょうか?やっぱり、女優さんの新しい一面を引き出すことにかけては天才ですよね。

「どこか違うところに行きたい」という願望を持った田舎の女子高生・紀子は、父親とのけんかの末、家出しひとり東京へやってくる。かつてからのチャット仲間クミコ(ハンドルネーム・上野駅54)と出会うことになるが、クミコはレンタル家族の会社を経営しており、紀子も名をミツコと変えその”レンタル家族”の世界にのめりこんでいく・・・というのがあらすじです。
この作品、『自殺サークル』の続編だということは観てから知ったのですが、おそらく『自殺サークル』は観ていなくても単体で楽しめるようにはなっていると思います。
「あなたはあなたと関係ありますか?」
『自殺サークル』では完全に宙に浮いてしまっていた(笑)このセリフが今作のテーマとなります。簡単に言えば「自分とはいったい誰なのか?」ということ。
それを象徴しているのが”レンタル家族”という設定。人は自分がどういう自分であるのかわかっておらず、誰もが他人にとって理想の自分を役割として演じているということをありありと示しているわけですね。まるでギャグのような”レンタル家族”のシーンも妙に説得力がありました。
とにかく、園子温作品の中でも比較的わかりやすい作品でもあると思うので、園子温入門としても良いのではないか?と思います。

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以下ネタバレ

あくまで個人的解釈です。
構造主義か実存主義か・・・みたいな話になりそうなんですが、僕個人の普段からの考えとして”自分”なんてものは無い、と思っています。誰かに必要とされる自分、もしくは他人にとっての自分のイメージを演じることで人はうまく生きていけるのだと思っています。そういう意味では僕はかなりクミコに考え方が近いように思いました。彼女の”役割を演じる”という考え方はかなり狂気じみたものがあったと思うのですが、それでもそれって僕のなかでは真理だと思ってるんですよね。
”自分”を見つけようと家を飛び出した紀子は結局、”レンタル家族”という他人の理想に応える最たる存在になるわけですが・・・さて、ラストシーンはいろいろと解釈できそうですよね(笑)
ラスト、一人偽物家族から出て行った妹・ユカはあたかも”理想で作られた虚構の世界”から抜け出した希望のように描かれていますが、はたしてそうだろうか?と僕は感じました。ユカも結局は”誰かのために演じる自分”以外は何も見つけられないと思います。それに対して、紀子は「さようなら、光子。私は紀子。」と父親の理想のために自分の役割を受け入れたわけです。つまりは、役割を受け入れる=生き方を決めたとも思ったんですね。これから苦労するのは妹・ユカなんじゃないかなぁ~と僕は思うわけです。

・・・もちろん全く逆の解釈もできますよね。むしろ、どちらかというとこの映画僕みたいな考えを持ってる人に対するアイロニーが多分に含まれていると思うので(笑)


とはいえ、誰が観ても自分の都合のいいように解釈して絶対誰かに感情移入できる、非常に練られた作品だったと思います。必見!!

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参考映画

自殺サークル [DVD]自殺サークル [DVD]
(2002/07/12)
石橋凌、永瀬正敏 他

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『自殺サークル』レビューはこちら




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No title

園子温は冷たい熱帯魚以降の映画は全て見たのですが、これはまだ見てません。
ちょっと見てみたいと思います。
ただ、地獄でなぜ悪いもかなり面白いので見てみてください。

Re: No title

「地獄でなぜ悪い」!!観たいんですよ~。
今度近くの単館映画館でやるみたいなんで、また観てみます(^^)
この映画も、園監督らしい、残酷さと説教臭さ(!?)があって良かったですよ!
「冷たい熱帯魚」気に入ったなら、これも気に入ってもらえると思います。

No title

見ました。
園子温のマジメモードの方なんですね。
ぶっ飛んだ園子温が好きなんですよね。
仰るとおり純文学のようですね。
ちょっと私には合わなかったです。
悪くはないんですけどね。
いかれ具合が物足りなかったですw

Re: No title

ポン太さん、コメントありがとうございます!!

たしかに、マジメモード言えばそうかもしれませんねぇ。
他作品に比べても、イカレ具合は少なかったし
強烈なのを期待してたら物足りないかもしれませんね(^^;)
でも、見えない居心地の悪さはなかなか園監督らしかったかなぁと思いましたよ。

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タコ

Author:タコ
映画が大好きな一人の男。映画に関して思いついたことを書くだけの緩いスタンスでやっていきます。
文章力に自信はないので、非常につたない文章になっているかとは思いますが、読んでいただいて映画選びの参考にしていただけたら光栄です。

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100点…必見!!ですが、作品によってはトラウマになったりする可能性あり。
81~99点…必見!!
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