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私は『白いリボン』を観た(ネタバレあり)

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あらすじ:第一次世界大戦前夜のドイツ北部。プロテスタントの教えを信じる村人たちに、不可解な事故が次々と襲い掛かる。小さな村は不穏な空気に包まれ、村人は疑心暗鬼に陥り、子どもたちは苦悩を感じ始めていた。

『白いリボン』予告編はこちら




タコ的点数:75点




さて、久しぶりのハネケ作品です。2009年のカンヌでパルムドールを受賞した今作ですが・・・まぁ一般向けの映画とは到底言えませんよね(笑)。僕、数年前にハネケ作品を連続して何本も観た時期がありまして、そこから久しぶりのハネケに挑戦だったわけですが・・・いやぁ~疲れました。
決してつまらなかったわけではないんですよね。観終わった後に何か新しい世界が広がる感覚のあるこのハネケ作品独特の解放感は病み付きになるものはあるんですが、それでもやっぱり不快な映画であることは間違いなくて(笑)誰の目から見ても不快なことが起こるわけではないんですが、静寂な画面からにじみ出てくる冷徹で悪意のあふれる空気が何とも言えないんですよね。「意味ありげなエピソードがいくつも並べられるけど、明確なつながりは見えない」という手法は『セブンス・コンチネント』の時のような初期のハネケ作品をなんとなく思い出しました。でも、うまく言葉にできないけど暗に脳裏に埋めつけられたその意味をなんとなく感じれる不思議な映画なんですよね。う~ん、ハネケ監督って頭良すぎるよね(笑)

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物語の舞台は第一次世界大戦前夜のドイツ北部の村。そこで、村人の診療を一手に引き受けるドクターが、木と木の間に張られた針金に引っかかって落馬したり、大地主である男爵家の納屋の床が抜けて小作人の妻が亡くなったり、牧師の机の上で小鳥が磔にされていたりなど、不可解な事件がたくさん起こるわけです。
まぁ、この手のカンヌ作品それなりに観ている人はもうお察しの通り、この映画は「犯人探し」が目的ではないです。まぁ、もちろん犯人らしき人物を示唆するシーンは出てくるんですが、明確なシーンは出てきません。あとはネタバレに書こうかなと思います。というか、ネタバレ無しでは書けないでしょう、この映画(笑)
話の本筋がわからないことは無いでしょうし、ハネケ映画の中ではわかりやすい作品ではあると思います。静かな映像の奥に見え隠れする残酷な”空気”。やっぱりこの作品みたいに映像に圧倒的な力のある作品ってカンヌ強いですよね。

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以下ネタバレ

あくまで個人的解釈です。
さて、タイトルにもなっている「白いリボン」。これがいったい何なのか?というのは、この映画を観た人ならもうおわかりですよね。これって、大人が子供を厳格に躾けるためのアイテムであり、「お前は”純粋無垢”な子供であるべきだ」ということを強要するための印なわけですよね。
でも、タイトルにもなってるこのアイテム、実際に用いられてるのって牧師の子供に対してだけなんですよね(僕は、この映画を観る前、村中のこどもがこの白いリボンを巻かれて管理されている、という話なのかなと思っていました)。なぜ、数あるエピソードの一つでしかない「白いリボン」がタイトルにもなっているのか?
結論から言うと、村中の人が見えない「白いリボン」を巻かれていたのだと考えます。
前述したように、この白いリボンは牧師が自分の子供に対して「子供は無垢である」ということを強要している象徴だと考えられます。それと同じように、ある人は「子供は親の言うことに従うべきである」ことを強要され、ある人は「女は醜くく汚くてはいけない」ということを強要され、ある人は「村民は男爵に絶対服従である」ということを、時には暴言と暴力を使って強要されるわけです。強要されるのはいわゆる社会的弱者。そして、社会的弱者である誰もがその強要に不満を持ちながらも、自分の立場をわきまえてそれに従うわけです。しかし、その不満や怒りはどこか別の場所へ悪意となって吐き出されます。それが、あの目的のわからない不条理な事件の数々なわけです(実際、事件の犯人は牧師のこどもたちである、ということがなんとなく示唆するシーンがありますが、よくよく考えてみると事件のすべてを子供たちがやった、ということでもないことは畑が荒らされた事件からでもわかりますよね)。
ここで言いたいのが、決してこれは戦争の時代を批判するような映画ではない、ということです。だって、権力を持つ側の人間が社会的弱者に立場を強要する、なんてことは現代社会でも十分ありうることなんですよね。そして、そこが閉鎖的な社会であればあるほど、その歪みは大きくなり、またその弱者が更なる弱者に強要する・・・そんな負の連鎖が永遠に続いて、未だに現代にも残っている・・・とは考えられませんか?
権力を持つ者による社会的弱者に対する精神的抑圧は、どのような効果を生むのか?そんなことを問うた作品だったのではないかと思いました。

余談ですが、他の方のこの作品のレビューを読んで気づいたことなんですが、あの抑圧されていた子供たちってこの19年後のドイツで、ナチスを第一党に持ちあげた若者たちとなる訳なんですよね。時代背景にもそんなトリックが!?と隅々までよく練られた作品だったんだなぁと感心しました。





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参考映画

セブンス・コンチネント [DVD]セブンス・コンチネント [DVD]
(2007/01/12)
ビルギット・ドル

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『セブンス・コンチネント』レビューはこちら




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タコ

Author:タコ
映画が大好きな一人の男。映画に関して思いついたことを書くだけの緩いスタンスでやっていきます。
文章力に自信はないので、非常につたない文章になっているかとは思いますが、読んでいただいて映画選びの参考にしていただけたら光栄です。

※コメント無しで、TBのみ送ってくる場合は承認しないようにしています。
また、内容が酷いと思われるコメントも独断で削除させていただきます。悪しからず。



~映画レビュー採点基準~
100点…必見!!ですが、作品によってはトラウマになったりする可能性あり。
81~99点…必見!!
61~80点…観る価値あり!!自信を持ってオススメ。
41~60点…まぁまぁ良作。暇なときに観ればいいのでは?
21~40点…別に観なくてもいいかと・・・。
0~20点…ダメすぎて話のネタになることもあり得る映画。




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