スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

私は『CUT』を観た(ネタバレあり)

20111209_1046812.jpg
あらすじ:売れない映画監督・秀二(西島秀俊)の作品が映画館で上映されることはなかったが、彼は映画への情熱を持ち続けていた。そんな折、兄が借金のトラブルで亡くなったことを知った秀二は、彼の映画資金調達のため兄がやくざの世界で借金していたことを知る。兄の死に対する自責の念から、秀二は殴られ屋をすることで借金を返済しようとするが……。


『CUT』予告編はこちら




タコ的点数:70点





以前、『ブラック・スワン』のレビューで「芸術はある種の毒だ」と記述したことがあるんですが、この映画に対しても僕は同じ思いを持ちました。アート映画を求める主人公、彼こそ芸術という毒に染まりきってしまった、哀れな男なのかもしれません。
ストーリーは単純で、映画を愛する売れない映画監督が死んだ兄貴の借金を返すために殴られ屋として金を稼ぐ、というものです。劇中のほとんどがトイレで主人公がヤクザに殴られつシーンです。
主人公が街に出て「クソ娯楽映画ばかりだけではダメだ!アート映画をもっと劇場に観に行ってくれ!!」と叫ぶように、この映画も大衆向けに作った映画ではないことがわかります。非常に作家性の強い作品であると言えるでしょう。
詳しい内容に関しては下の方で後述(ネタバレ)します。

int_n_02.jpg

タコの姉さんが最近お気に入りの俳優さん、西島秀俊さんが主演です。実は、この方を映画やドラマで観たのは初めてだったんですが、すごい演技をする俳優さんなんだなぁ、と思いました。殴られるだけでなく、映画を愛する狂気的な姿も、全身を使ってエネルギー溢れる演技をしていました。この人のこの演技を観ただけでもこの映画を観た価値はあったと思います。
あと、西島さんが裸になって自分の身体に映画を映しているシーンも印象的でした。本当にこの人は映画を全身で愛しているんだ、ってのを象徴的に表しているようで。こういう、記憶に残るようなワンカットがある映画って、やっぱり良いですよね。

int_n_03.jpg










以下ネタバレ

予告だけ見ると「現代に量産クソ娯楽映画の数々に対して一石を投じる挑戦的な映画」だと思っていましたが・・・
この映画を観終わった僕は、全く逆の感想を持っていました。もちろん、この映画を観て率直にそのまま「本物の映画とは娯楽だけではないんだ」「もっと深い芸術性のある映画を観なければならないんだ!」と感じる人もいるかもしれませんが、僕は逆に「本物の映画とは?」だとか「映画は娯楽ではなく芸術だ」と語る人間ほど滑稽なものはない、と感じました。
主人公は、アート映画を好む映画監督。そして、定期的にそんな映画の上映会を行い、口癖のように「僕もこんな映画を撮りたい」とつぶやく、偏執的に映画を愛する男なのです。
しかし、劇中で彼が「映画を3本撮った」と語っていますが「どんな映画を撮ったのか?」ということは語られていません。おそらくその3本の映画は売れていないどころか、世にすら出ていないのでしょう。彼が世の中に訴える文言から、世の中の人間がくだらない娯楽映画ばかり観ているせいで彼の映画が世に評価されていないように思われるのですが、僕はおそらく主人公の作る映画は本当に面白くないのだと思います。
ラストシーンで、主人公は100発のパンチを受けながら100作品の映画を思い浮かべるのです。途中耳が聞こえなくなり、もう死ぬかもしれないというときも、映画のことを思い出すことでまたよみがえるのです。どれだけ殴られても映画への狂気的な愛が彼を生かしていました。
しかし、どの映画も名前を聞けば誰もが知っているであろう圧倒的に大衆から支持されている名作中の名作ばかり。しかも、中にはおそらく完全に娯楽として作られたであろう作品も含まれているわけです。つまり、主人公は高い芸術的センスや映画的なセンスを持っているわけではなく、ただの映画オタクだと考えられます。そんなオタクがいくら金をかけようが、面白い映画など作れるはずがありません。しかし、彼は借金を完済した後、懲りずにさらに多額の借金をして(おそらくまた売れないであろう)映画を撮ろうとするのです。最後の笑みを含んだ主人公の表情。僕には彼の破滅していく人生しか見えませんでした。
僕個人としては、芸術性の高いアート映画も好きですし、内田樹さんの言葉を借りて言うならば、誰もが楽しめる「中学生映画」も大好きです。もちろん、苦手な人にアート映画を見せようとは思わないし、くだらないと思っている人に娯楽映画をすすめようとは思いません。僕は勝手に個人で楽しめばいいと考えています。「アート」「芸術」という言葉に染まって、それが自分のす全てになり、世に伝えようと思い立ったとき、よほどの天才でなければ、それは人生を狂わせる道へとつながるのではないかと、個人的には感じています。




int_n_04.jpg


参考映画

ブラック・スワン [DVD]ブラック・スワン [DVD]
(2012/03/16)
ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル 他

商品詳細を見る

『ブラック・スワン』のレビューはこちら




関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

タコ

Author:タコ
映画が大好きな一人の男。映画に関して思いついたことを書くだけの緩いスタンスでやっていきます。
文章力に自信はないので、非常につたない文章になっているかとは思いますが、読んでいただいて映画選びの参考にしていただけたら光栄です。

※コメント無しで、TBのみ送ってくる場合は承認しないようにしています。
また、内容が酷いと思われるコメントも独断で削除させていただきます。悪しからず。



~映画レビュー採点基準~
100点…必見!!ですが、作品によってはトラウマになったりする可能性あり。
81~99点…必見!!
61~80点…観る価値あり!!自信を持ってオススメ。
41~60点…まぁまぁ良作。暇なときに観ればいいのでは?
21~40点…別に観なくてもいいかと・・・。
0~20点…ダメすぎて話のネタになることもあり得る映画。




YouTubeで趣味で作曲もしてます。「Modernmonkey100」で検索して遊びにきてください。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
訪問者数(2/17~)
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。